惰眠を貪る男

魔女に毒リンゴを食わされたとしか思えない。

今日は大学がないので明日ある手付かずの二教科の試験勉強をしようと昨日の時点では思っていた。

しかし、俺が眠りについた後に魔女が来て、野獣のようなイビキをかき鳴らす俺の口の中に毒リンゴを放り込んだのだ。

だから起きたらタモさんがテレビの画面の中で暴れまわっていたのだ。

4時に寝たから8時間以上寝ていたことになる。
ただ、ここで起きて勉強を始めれば、普段よりちょっと寝すぎただけで魔女の存在を疑うこともなかった。

しかし、俺は飯を喰ってから15分もしないうちにまた眠くなってしまいベッドに入った。『ごきげんよう』では真鍋かをりが喋っていたのは記憶にある…。

二度目の起床。時計を見たら6時50分。俺はいつも学校に行く時は6時57分に起きるので、普段の癖で「あぁ、朝か…」と思ってしまった。

 

夜だった。昼の一時過ぎに二度寝して夜の七時前に起きた。二度寝で6時間も寝てしまった。今日の睡眠時間合計で14時間だ。まるで赤ちゃんだ。バブー。

結局、試験勉強を始めるのが予定よりも大幅に遅れた。まだ、一科目目さえ終わっていない。

柳田國男の弟子の折口信夫について調べまくりだ。そういえば先日、宮崎県に行ったときに「俺の家に昔、柳田國男が泊まったことがあるっちゃが」という地元の青年がいた。村人も皆、「そうっちゃが、本当だっちゃが」と俺に自慢してきた。

たしかに宮崎県といえば日本最初の民俗学の出版物『後狩詞記』が書かれたり柳田國男縁の地だしねぇ。「日本の民俗学発祥の地」なんて碑も建ってたし。でも、村の民俗資料館みたいなところには『デューク・エイセス』のコンサートのポスターばっかり貼られていた。村はデュークエイセスフィーバーだった。

まぁ、そんなことはどうでもいいんだけどさ。
とにかく俺のこの謎の14時間の睡眠だ。本当に魔女以外考えられない。
なぜかって?
だって、俺まだ、眠いんだもん。
まだ、毒が体に残ってる。
明日は試験なのに…。眠気と戦わなきゃ。

誰かが魔女狩りしてくれればいいんだけど。
魔女はきっとカルロス・ゴーンみたいな顔をしているはずだ。